トリアセテート繊維について

*PDF "About Triacetate Fiber" in English is available.⇓ 日本語 / Chinese / English
三菱レイヨン(株)技術資料より抜粋
トリアセテート繊維は、主原料が天然パルプであり、かつ「半合成繊維」と言われているように、天然繊維の味も表現でき、合成繊維の機能性も併せ持っています。
特徴としては、発色性の良さ、ソフトな風合い、上品な絹のような光沢、ドレープの美しさなどのファッション特性に加え、合成繊維的なイージーケア性を持っていることが特徴です。
トリアセテート長繊維は、昭和42年にアメリカ、セラニーズ社からの技術導入により、三菱レイヨン(株)において「ソアロン」として生産を開始し、婦人衣料を中心に確実に拡大しております。
製造工程 |
図表 |
トリアセテート繊維は高純度木材パルプに酢酸を作用させてセルローズトリアセテートとし、メチレンクロライドおよびメタノールの混合溶液を溶剤として用いて乾式紡糸されます。その製造工程の概要は図表の通りです。 なお、ジアセテート繊維は、セルローズトリアセテートを加水分解してセルローズアセテートとして、アセトンを溶剤として乾式紡糸したものです。 |
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化学構造式 |
図表 |
トリアセテートは、主原料のパルプ(セルロース)のもつ単位分子当たり3個の水酸基(-OH)を3個とも疎水性の酢酸基(-OCCH3)に置換(酢化)したものであり、ジアセテートは一部の水酸基が残存し、単位構造当たり2.4個の割合で酢酸機が結合したものです。 酢化度でいえば、一般トリアセテート繊維は61%〜62%、ジアセテート繊維は54%〜56%です。この酢化度の微妙な差が繊維に染色工程、及び熱処理行程を通じて、疎水性、熱可塑性や結晶性等を引き出し、トリアセテート繊維に合成繊維的なイージーケア性を発揮させるようになります。 |
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トリアセテート繊維製品の特徴と取り扱い |
図表 |
トリアセテート繊維は、発色性の良さ、絹のような光沢、柔らかな肌触りやドレープ性等の美的外観を持ちながら、しかも合繊的なイージーケア性を持っているので、実用性のあるおしゃれ着としての大きな特性を備えています。更にその優れた耐熱性と、耐アルカリ性、ヒートセット性は他の繊維との親和性に優れる大きな特性になっており、生糸、綿、麻等の天然繊維を始め、ポリエステル、ナイロンやアクリル等の合成繊維との交撚交織も可能にし、幅広い商品展開の原動力になっています。 |
a. 乾きが早い
吸湿性は少ないが、熱処理によりいっそう水分率が下がり乾きやすくなっています。
b. 収縮が少ない
水の影響を受けにくく、低膨潤収縮率を示しています。
c. アイロンがけが可能
トリアセテート繊維製品にアイロンは不要ですが、アイロンがけの際は、中温(140〜160℃)で十分です。
d. 型崩れせず、シワにならない
熱処理による繊維の歪みの除去が、疎水性低膨潤性と相俟って良好な形態安定性、耐シワ性を示しています。
e. プリーツ保持性が大きい
トリアセテートの熱可塑性はきわめて優秀であり、プリーツ製品は繰り返し洗濯してもヒダは消えることはありません。また、プリーツ製品の持つドレープ性も他合繊に見られないトリアセテート繊維の特徴です。